過去のイベント


2008年5月14日(水) 東京カテドラル聖マリア大聖堂公演

2008年5月14日(水)東京カテドラル聖マリア大聖堂にて第18回『インターナショナル・オルガン・フェスティバル・イン・ジャパン2007』公演が好評のなか終了いたしました。
ご来場いただきました皆様有難うございました。

ロマン・ペルッキ

「グダニスク音楽院のオルガン科」の教授であり、 「グダニスク・オリヴァ・カテドラル」の主任オルガニスト。この他、 「バルチック・フィルハーモニック・オーケストラ」の経営責任者、 「ムジカ・サクラ」と「グダニスク・オリヴァ・カテドラル」友好協会の理事長、 オリヴァ・カテドラルの「国際オルガン音楽」、 グダニスクの「国際J.P.スヴェーリンク・コンクール」、「フロンボルグ」、 「ジャスタルニア」、「ステグナ」、「モラーグ」、「ザルノウィッチ」「ルミア」の 「国際音楽集団」の管理者、イタリアの「カルテルン」、チェコの「オパヴァコンクール」、 ロシアの「カリーニングラード」、及びポーランドの「オルガンコンクール」の審査員を務める。 文化大臣から「文化賞」、 ならびにバチカンの「最高栄誉賞 Pro ecclesiae et pontifice」を受賞している。

 

東京公演 助成・後援・協賛

<主催>
インターナショナル・オルガン・フェスティバル・イン・ジャパン組織委員会
<協賛>
日本航空株式会社/凸版印刷/株式会社フォーリーフジャパン(東京公演)/セシリアの会
<後援>
外務省/文化庁/ポーランド共和国大使館/東京都/NHK /産経新聞

◆東京公演演奏曲目

    ロマン・ペルツキ教授
  • プレリュードとフーガ ホ短調 BWV548(J.S.バッハ)
  • 第1音によるファンタジア(作者不詳)
  • オルコンビエン(作者不詳)以上2曲 グダンスクの古典オルガン曲集(1591)より
  • 舞踏曲(作者不詳)オリヴァの古典オルガン曲集(1591)より
  • 苦しむわれ等のためにどなたが来たまうや(フランツ・トゥンダー)(1614-1667) ペルピンの古典オルガン曲集(17世紀頃)より
  • 鐘の音のロンド(ジョバンニ・モランディ)(1777-1856)
  • ソナタ第3番 イ長調 コン・モト・マエストーゾ アンダンテ・トランキーロ(フェリックス・メンデルスゾーン)(1809-1847)
  • 聖マリアのプレリュード(ユリウス・ヴューキウック)(?-1927)
  • フーガ・ボレロ(マリアン・サヴァ)(1937-2005)
    オルガンと能舞のコラボレーション
  • 聖母マリア(児玉麻里) オルガン・小鼓・謡の音楽に乗せて、マリアさまの生涯から「受胎告知」と「ピエタ」を

オルガンと能舞のコラボレーション『聖母マリアさま』

監修 坂井音重・大倉源次郎
児玉麻里  オルガン
坂井音晴  能舞
坂井音隆  謡
大倉源次郎 小鼓

聖母マリア(児玉麻里作曲)

ミケランジェロの彫刻「ピエタ」は、あまりにも有名である。 十字架に処刑されたキリストの亡骸を膝に抱いて、悲しみにくれるマリアの心をオルガンが減三和音で綴る。
しかしマリアは、健気にも神の子キリストの母であると気高く舞い、地球のすべての人類の母になることを誓う。

悲しみに沈める御母は涙にむせびて、御子の懸かり給える 十字架のもとにたたずみ給えり
歎き憂い悲しめるその御魂は、鋭き刃もて貫かれ給えり
神の御独り子の尊き御母は、いかばかり憂い悲しみ給いしぞ
尊き御子の苦しみを見給える、慈しみ深き御母は 悲しみに沈み給えり
キリストの御母のかく悩み給えるを見て たれか涙を注がざる者あらん
キリストの御母の御子と共にかく苦しみ給うをみて たれか悲しまざる者あらん
聖母はイエスが人々の罪のため 責められ鞭打たるるを見給えり
聖母はまた最愛の御子が御死苦のうちに捨てられ 息絶え給うを眺め給えり
悲しみの泉なる御母よ われをして御悲しみのほどを感ぜしめ 共に涙を流さしめ給え
わが心をして 神なるキリストを愛する火に燃えしめ 一つにその御心に適わしめ給え
われにキリストの死を負わしめ その御苦難を共にせしめ その御傷を深く忍ばせ給え
しかしキリストの御苦難が成し遂げられる時こそ 御母の苦しみも又完成し給う
罪なき尊き御子の死によって われ等を覆った罪と死の闇は打ち払われ
十字架の木から復活の栄光が輝き渡らん
われ等聖母と共に復活の喜びの予感のうちに キリストの十字架のもとに立ち続けん
願わくば、御身 慈悲の愛をもてわれ等を護り給え

スタバト・マーテル静一志

スタバト(立っていた)、マーテル(御母は)、ドロローサ(悲しみに沈める)と続くラテン語の 詩の冒頭の句。キリストの十字架のもとに立っていた、聖母マリアの悲しみを歌ったもの。 作者はイタリアのフランシスコ会士・詩人・ヤコボ・ネ・ダ・トーディ(1230~1306)か、 同じくイタリアのフランシスコ会士・スコラ神学者・神秘思想家・聖ボナベントゥーラ(1217~1274) だと言われる。昭和27年発行の「カトリック大辞典」でラテン語のスタバト・マーテルを、 「温かい感じの、名澄高尚にして、響きの良い、中世ラテンの完成せる形式のもの」(Vの46P)と紹介している。
なお、ペルゴレージ、パストリーナ、ハイドン、ロッシーニ、ドヴォルザーク、プーランク、 ヴィヴァルディーなど多くの人が曲を付けている。 今回の日本語訳は、昭和23年光明社発行の「公教会祈祷文」から借用した。 但し長文なので、省略してある。又謡のリズムに合わせて言葉を変更したところ、 言葉を付加したところがある。又、文語に訳した原訳者が不明なため、フランシスコ会の管区長の許可を得た。

聖母マリアさま

 マリアの生涯の中から「受胎告知」と「ピエタ」を抜粋。 西欧で生まれた「聖書」のみ言葉が、訳された古語の日本語の謡によって朗じられたら、どんな響きになるだろうか? シテ方によって舞われるマリアから、何を聴衆に伝えられようか・・・オルガンの響きがどのように融合するだろうか・・・。

受胎告知

謡1 慶(めで)たし、恩寵(おんちょう)に満(み)てる者よ、主(しゅ)汝(なんじ)と共に存(ましま)す。 汝(なんじ)は女(おんな)の中(なか)にて祝(しゅく)せられたる者なり、と。

謡2 マリア之(これ)を見(み)て其(その)言(ことば)に由(よ)りて大(おお)いに心騒(こころさわ)ぎ、 此(この)祝詞(しゅくし)は如何(いか)なるものぞと案(あん)じ居(お)るを、

謡3 懼(おそ)るる事勿(なか)れマリア、汝(なんじ)神(かみ)の御前(みまえ)に恩寵(おんちょう)を 得(え)たればなり。然(さ)て汝(なんじ)懐胎(くわぃたい)して一子(いっし)を生まん、 其(その)名をイエズスと名(なづ)くべし。 彼は偉大にして、最高(いとたか)き者の子と称(とな)へられん。

謡4 我(われ)夫(おっと)を知らざるに、如何(いか)にしてか此事(このこと)あるべき。

謡5 天使(てんし)答えて曰(いわ)く、聖霊(せいれい)汝(なんじ)に臨(のぞ)み給(たま)ひ、 最高(いとたかき)者の能力(のうりょく)の蔭(かげ)汝(なんじ)を覆(おほ)わん、故(ゆえ)に汝(なんじ)より 生(うま)るべき聖(せい)なる者は神の子と称(とな)えらるべし。

ピエタ

謡1 悲(かな)しみに沈(しず)める御母(おんはは)は涙(なみだ)にむせびて、 御子(おんこ)の懸(か)かり給(たま)える十字架(じふじか)のもとに たたずみたまえり。

謡2 聖母(せいぼ)はまた最愛(さいあい)の御子(おんこ)が御死(ごし)苦(く)のうちに 捨(す)てられ息絶(いきたえ)え給(たも)うを眺(なが)めたまえり。

謡3 罪(つみ)なき尊(とほと)き御子(おんこ)の死によって われ等(ら)を覆(おほ)った罪(つみ)と死(し)の闇(やみ)は打(う)ち払(はら)われ 十字架(じふじか)の木(き)から復活(ふくくわつ)の栄光(くわうえい)が輝(かがや)き渡(わた)らん

謡4 願(ねが)わくは、御身(おんみ) 慈母(じぼ)の愛(あい)もてわれ等(ら)を護(まも)り給(たま)え。


アーティスト紹介

坂井音晴 能舞
観世流職分家・坂井音重の三男として、昭和53年2月7日生まれる。
父坂井音重、観世流二十六世宗家・観世清和に指示する。
四歳に初舞台を踏み、それ以降、「石橋」「乱」等、数十番を披演。
海外では、米国首都ワシントンDC、ロシア・モスクワ「ボリショイ劇場」、 同じくサンクトペテルブルグ「マリンスキー劇場」、中国・北京にて能を演ずる。
坂井音隆 小鼓
観世流職分家・坂井音重の次男として、昭和51年2月6日生まれる。
父坂井音重、観世流二十六世宗家・観世清和に指示する。
三歳に初舞台を踏み、それ以降、能の集大成といわれる、 「道成寺」や「石橋」「乱」等、数十番を披演。
海外では、ロシア・モスクワ「ボリショイ劇場」 同じくサンクトペテルブルグ「マリンスキー劇場」、 中国・北京、タイ・バンコク、インド・ニューデリーにて能を演ずる。
大倉源次郎 小鼓
能楽大倉流小鼓方十六世宗家 (大鼓宗家預かり)。日本能楽会会員。
重要無形文化財総合指定。関西大学文学部。非常勤講師。
平成4年大阪市咲くやこの花賞ほか多数受賞。
昭和60年16世大倉流宗家を継承。父大倉長十郎に師事。
流派を越えて21世紀の能を考える「能楽座」メンバー通常の能公演はもとより、誰もが日本文化である「能」と気軽に出会えるよう「能楽堂を出た能」をプロデュース。
海外公演、新作能・復曲能・英語能ほか多数。

2008東京


新聞記事